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  • 兵庫県臨床心理士会

2023年度ありふれた臨床研究会オープンセミナー心理学と社会――その先兵/しんがりとしての心の専門家

2023年度ありふれた臨床研究会オープンセミナー

心理学と社会――その先兵/しんがりとしての心の専門家


かつて「妖怪のせいなのね」と言われたことを「心のせいなのね」に置き換えたのが明治における心理学のはじまりであった。それから150年が経ち、社会にはさまざまな心の問題があふれるようになり、それに対処する心の専門家もあふれるようになった。このような変化を「社会の心理学化」と呼ぶ。それはさまざまな問題を心の次元に集約していく社会であり、個人に多くの責任が求められる社会のことである。


 このとき、心の専門家は社会の心理学化の先兵となっていると批判されてきたし、かつて臨床心理学自身がそのような自己反省をしたこともあった。実際、心の専門家にはそのような機能もあるだろう。これに対して、反論を行ったのは精神科医の斎藤環だった。著書『心理学化する社会』で、社会そのものが心理学化する方向に変化している以上、それに対処する役割を誰かが引き受けねばならないと、社会の「しんがり」を務める心の専門家像を語ったのである。


 さて、本オープンセミナーではこの「社会の心理学化」について社会学的に、そして臨床的に考えてみたい。『「心」をめぐる知のグローバル化と自律的個人像―「心」の聖化とマネジメント』、『働く人のための感情資本論 ―パワハラ・メンタルヘルス・ライフハックの社会学』といった著作で知られる社会学者の山田陽子氏に大枠の展望を話してもらったのちに、離島で臨床に取り組む津山紀彦氏と、都市部で臨床を行う山崎孝明氏に事例を提供してもらい、山田・斎藤両氏による討論を行う。


 そのようにして、社会学、臨床心理学、精神分析、精神医学の学際領域を開き、現代における心の専門家の役割と機能、そしてその光と影について議論を行いたい。


日時・スケジュール

2024年2月23日(祝)12:30~18:00


会場

TKPガーデンシティPREMIUM品川(東京都港区高輪4-11-16京急第11ビル)

*ハイブリッド形式ですので、オンラインの参加も可能です

*1か月間(2024年3月24日 日曜日 まで)見逃し配信をいたします。当日現地/オンライン参加された方もご覧いただけます


参加費

現地参加:5000円

オンライン参加:4000円

(大学院生は現地3000円、オンライン2000円)

*申し込み完了後に、振込口座をご連絡いたします


参加資格

・臨床心理士、公認心理師のいずれか、または両方をお持ちの方

・臨床心理学系の大学院生

・上記以外の方は、個別にご相談ください:arifuretarinsyou@gmail.com


*守秘義務を遵守するため、資格証明書・学生証のデータを提出していただきます

*臨床心理士資格認定ポイントを申請します


申し込み〆切

現地参加の申し込み締め切りは2024年2月16日

*会場参加には限りがありますので、定員に達し次第締め切ります


オンライン参加、オンデマンドの視聴申し込みは期限を設けませんが、セミナー当日は対応できませんことをご承知おきください


申込方法:下記のフォームよりお申込みください


スケジュール

12:30-13:00 東畑開人氏による講義

13:00-14:00 山田陽子氏による講義

  休憩

14:15-15:30 津山紀彦氏によるエスノグラフィ報告『離島の心理療法』+山田陽子氏、斎藤環氏による検討

15:30-16:45 山崎孝明氏によるエスノグラフィ報告『都市の心理療法』+山田陽子氏、斎藤環氏による検討

  休憩

17:00-18:00 全体討論


登壇者紹介(敬称略)

山田陽子(感情社会学者/大阪大学大学院人間科学研究科准教授)

大阪大学大学院人間科学研究科准教授。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は社会学(感情社会学、医療社会学、社会学理論)。著書に『「心」をめぐる知のグローバル化と自律的個人像』(学文社、2007年。日本社会史学会奨励賞受賞)、『働く人のための感情資本論――パワハラ・メンタルヘルス・ライフハックの社会学』(青土社、2019年)。共著に『現代文化の社会学 入門』(ミネルヴァ書房、2007年)、『いのちとライフコースの社会学』(弘文堂、2011年)など。


齋藤環(精神科医/筑波大学)

筑波大学医学研究科博士課程修了。医学博士。爽風会佐々木病院・診療部長を経て、筑波大学社会精神保険学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、「ひきこもり」問題の治療・支援ならびに啓蒙。漫画・映画・サブカルチャー全般に通じ、新書から本格的な文芸・美術評論まで幅広く執筆。著書に『社会的ひきこもり』『母は娘の人生を支配する』『承認をめぐる病』『世界が土曜の夜の夢なら』(角川財団学芸賞)『オープンダイアローグとは何か』『「社会的うつ病」の治し方』ほか多数。


津山紀彦(臨床心理士・公認心理師/小豆島中央病院)

大阪府出身。香川大学大学院教育学研究科修士課程修了。地方中核都市の適応指導教室、スクールカウンセラー勤務を経て、2017年より現職。小児科領域を中心に、入院患者の心理支援、職員相談など幅広い心理臨床実践を行っている。


東畑開人(臨床心理士・公認心理師/白金高輪カウンセリングルーム)

京都大学教育学部卒、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。精神科クリニックでの勤務と、十文字学園女子大学准教授を経て「白金高輪カウンセリングルーム」主宰。博士(教育学)。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。著書に『野の医者は笑う―心の治療とは何か』(誠信書房2015)『日本のありふれた心理療法―ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学』(誠信書房2017)『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』(医学書院 2019)、『心はどこへ消えた?』(文藝春秋 2021)、『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社 2022)、『聞く技術 聞いてもらう技術』(筑摩書房 2022)、『ふつうの相談』(金剛出版 2023)など。


山崎孝明(臨床心理士・公認心理師/こども・思春期メンタルクリニック)

上智大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。専門は、精神分析・臨床心理学。著書に『精神分析の歩き方』(金剛出版 2021)、『精神分析的サポーティブセラピー(POST)入門』(共著 金剛出版 2023)など。




2023年度ありふれた臨床研究会オープンセミナーフライヤー
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